プロローグ
ラウンド前日の練習はまずまず、翌日は期するものを胸に秘めてコースへ。 ところがいざコースに出てみるとドライバは当たらない、シャンクは出る、グリーン周りでは行ったり来たり・・・。
こんなはずじゃなかった!
そんなとき、パニックに陥らないための予防策です。
シャンク
出始めたら止まらない
コースに出て一番始末に負えないのがシャンク。 ボールが斜め横、ひどいときには真横に飛ぶので、これが出始めるとゴルフになりません。 本人だけでなく同伴者にも迷惑をかけることになります。 いつもどおりにやろうとあせるほど、状況は悪化します。
応急処置
(1) 心持ちボールから離れてアドレスする。
(2) その状態から右足を少し後ろに引く(右を向くのとは違う)。
(3) 右足に重心を置き、右ひざを動かさないように固定する。
(4) 右足体重のまま(体重移動しないで)スイングする。
なぜシャンクが出るかは、色々なところで論じられているので省略します。
要するに正しいスイングをすればシャンクにはならないようです。
ただ、コースでシャンクに見舞われてからあれこれと正しいスイングに直そうとしても、うまくいくものではありません。 ここは姑息な手段であっても、目の前のシャンクを退治すべきです。
心持ちボールから離れてアドレスするのは、クラブの先端(トウ)寄りにボールを当てるための伏線です。
シャンクは多くの場合ヒール側にボールが当っています。
その状態から、右足を少しだけ後ろに引きます。体の向きは変えません。
そして、右足を意識しながら打ちます。
当面のシャンクを退治するのが目的ですから、手打ちになっても構いません。
メンタルなケア
シャンクは精神的な影響が大きなウエイトを占めます。 一度シャンクが出ると次も出そうな気がするのはそのせいで、この感触を断ち切らなければなりません。
ただ、そのために「シャンクが出ない」と自分に言い聞かせるのはあまり良くないようです。「シャンク」という呪いの言葉を思い出すこと自体がまずいようで、代わりに別の肯定的な言葉、例えば「真直ぐ打つ」などと念じます。
「ワン・ツー・スリー」の代わりに「まっ・すぐ・だー」と掛け声をかけて打つと案外シャンクは収まるかも知れません。
練習場で
コースでいきなりは難しいので、練習場で感触を掴んでおきましょう。
余談ですが、練習場では正しいスイングだけでなく、トラブルを想定した練習もしておくことをお勧めします。バックスイングができない木の根っこから転がす練習とか、フェアウェイバンカーからトップ気味に打つ練習等々。
道具を使う
道具に頼る手もあります。
クラブの根元(シャフトとフェースのつなぎ目)の凹凸部にボールが当たるのがシャンクの原因というなら、その部分を平らにしてしまえ、ということでできたのが、所ジョージ考案の
パラレルハンマートラップアイアン (写真右)。
シャフトは完全にフェースの後ろに隠れています。 たしかにこれならシャンクのしようがありません。
これほど極端でなく一見普通のアイアンに見えるのが
エフ2ウェッジ (写真右)。
右の写真で、左側がエフ2ウェッジ、右側が普通のウェッジです。
フェースがシャフトよりかなり前に出ている(黄色の部分)ため、シャフトとの付け根には当たりにくい、従ってシャンクは出にくいということでしょうか。
ショートアイアンの代わりに11番ウッドを使うという手もあります。 ウッドはフェースがシャフトより前に出ているので、トップやダフリはあってもシャンクはめったに出ません。
11Wのロフトは30度くらいで、7番アイアンと同じくらいなので、短めに持って軽く振ればショートアイアンの代わりになります。 私は11Wを7Iと同じ長さに切って短尺11Wとし、時に応じて7Iの代わりに使っています。 7Iはアドレスした時に稀に嫌な気持ちになることがありますが、短尺11Wだとシャンクが出る気がまったくしません。
短いアプローチに限っては、チッパーを使う手もあります。パター感覚で振れるので、シャンクにはなりません。ただ、不思議なことにチッパーを持っている人は少ないですね。 ベテランからは邪道扱いされている面もありますが、違反クラブではないのでぜひ試してください。
ドライバ(ティーショット)
練習場と同じはずなのに
ドライバはティーアップして打つので、練習場と条件はほぼ同じはずです。
にもかかわらずコースで失敗が続くのはなぜでしょうか?
応急処置
両足を地面にべたっと付けてスクエアにアドレスし、両足のかかとに体重を乗せます。
その状態からゆっくりとテークバックし、右足のかかとが地面から離れないように打ちます。
体重移動もしません。
結果的に体が回らず手打ちになって飛距離も出ませんが、ボールを捕らえる確率、フェアウェイに落とす確率は高くなります。
オプションとして、テークバック時に体重を右足に移し、右ひざを動かさないようにかつ体重移動をしないで(右足を軸にして)打つ方法もあります。
フィニッシュはそっくり返るような姿勢になるので、格好は悪いのですが、体が回る分、べた足手打ちよりはボールが飛ぶかもしれません。
練習場で
この打法は練習場で感触を掴んでおく必要があります。 練習では最初はテークバックを小さくし、徐々に大きくすると良いでしょう。
余談ですが、練習場へ行ったら最初の1球だけはドライバで打つことをお勧めします。 コースでの最初のティーショットをイメージして打ってください。
往復ビンタ
泣きたい気持ち
グリーン周りで泣きたくなることのひとつに、俗に言う「往復ビンタ」があります。 アプローチをトップしてボールがグリーンの向こう側へ転がる、返しのアプローチもまたトップしてボールは元の場所に戻る、そして次も同じように失敗する・・・・いつまでたってもグリーンに乗らない、という繰返しです。
同じアプローチの失敗でも、ダフリやチョロはグリーンの手前にボールがあるのですぐに次が打てますが、グリーンオーバーは反対側まで移動しなければなりません。
同伴者が皆すでにグリーンにオンして待っていると、どうしても走らざるを得なくなり、気持ちもあせります。
息を切らせてあせり気味でボールを打てば失敗する可能性が高まり、その結果また走って息が切れ、気持ちも余計あせるという悪循環になります。
なるべくパターを使う
グリーン周り5メートルくらいの範囲なら、まずパターが使えないかを考えます。
パターなら芝に食われてショートすることはあっても、グリーンをオーバーするようなことはめったにありません。
傾斜が急でなければ、砲台グリーンでも少しづつ駆け上ることは可能です。
転がす
5メートル以上距離がある場合は、7番〜9番アイアンを使って転がすことを考えます。
ふわっと上にあげるアプローチの場合、初心者はどうしてもバックスイングが大きいため、トップした時に大きく転がってしまいます。
転がすということは軽くコツンと打つことですから、クラブを肩の上まで振り上げるような打ち方はしないはずです。従って大きく行き過ぎることはないはずです。
両腕を伸ばしたまま7番アイアンでコツンと転がす練習をしておきましょう。
グリーンに乗らなくても、次にパターが使えるくらいのところまで転がればよしとします。
チッパーを使う
あまり使う人がいないのですが、チッパーを使う手もあります。 パターと同じ感覚で打つので、失敗が少なくなります。
エピローグ
備えあれば憂いなし。
一番の効果は精神的な余裕ができることかもしれません。
明日のゴルフは・・・きっと何とかなります。